Baad

茶々 天涯の貴妃(おんな)のBaadのレビュー・感想・評価

3.4
ロードショーの最後の週のレディースデイに見ました。80席ほどながら満席。普段映画館で遭遇する人たちよりぐっとお金持ちそうな人が多かったかな。

色々な意味でもったいない映画だと思いました。
見所は沢山あるのに中途半端なんですよね。バランスが良いと言えないこともないけれど、どちらかというと中途半端。

衣装とセットと女優さん達の競演は素晴らしかったです。特に衣装。成人式の日にCG柄の染の発色が濁った変な振り袖をきているお嬢さん達をたくさん見てげんなりしていたので、眼の保養になりました。戦国時代は未だ半幅の帯しか結ばずに、着物を重ねて柄で見せるんですね。刺繍とか染めとか織とか、映像で見てもそれと分かる豪華さで素晴らしかったです。これは、「乱」の衣装より良かったなあ。原田さんの演技も風格が増してあの頃とは(当たり前だけれど)段違い。

原作の結末を変更してまでの、女性中心のドラマの作り方も良かったです。凛とした茶々とその姉妹のありかたは見ていて気持ちが良かった。お市を演じた谷村美月さんの目力はさすが将来有望な若手女優。

残念だったのは合戦シーンとか女優でない俳優さん達の演技の繋がり方ですね。あまり時代劇は見ない方なのですが、それでも稲垣監督の「風林火山」を連想する部分などがあったりして、これは、本格的時代劇が見られるな?と一寸期待したのですが、一部小出しにしただけで終わってしまったという感じでした。

でも、渡部さん演じる秀吉と茶々の関係の描き方も良かったし、亡くなるときの秀吉の衣装も秀逸。全ての男性のキャストが生かされていないというわけでもないんですよね。

欠点はあまりにも女性映画として作りすぎていて、大きなアクションや笑いに欠けていたところなのかなあ。つまるところ、筋立てが宝塚なんですよね。で、ショップに行くとグッズは宝塚系のものばかり。これはちょっと商売っ気がなさすぎるかなと思いました。映画館は東宝系でも、これ、東映のお正月映画ですよね?一般客にもアピールする工夫が欲しかった。

衣装もセットも殺陣もすべて東映太秦撮影所の技術力を見せつけるような迫力があっただけに、もう少し宣伝と予算の部分でどうにかならなかったかな、と思います。戦闘シーンとか、和装業界とのタイアップとか。広い意味でご当地映画と言えないこともないし、映画館は駅のすぐ近くなのだから、もう少し考えて、観光マップを入れるとか、地域ぐるみのバックアップがあってもよかったような気がしましたね。

(もうちょっと頑張っても良かったのでは? 2008/2/23記)
Baad

Baad