馮美梅

茶々 天涯の貴妃(おんな)の馮美梅のレビュー・感想・評価

3.0
この映画は、女性の目線で描かれているので、確かに合戦シーンとかは、かなり血しぶきが飛んだりと迫力のあるシーンが多いんだけれど、静と動のメリハリがはっきりしていて、見ていても悪くなかったですね。

秀吉役の渡部篤郎さんがいつになく自然でいい演技をしていたような気がします。何だかこういう感じ久しぶりに見た感じがする?(笑)

家康役の中村獅道さんも、あのラストシーンで流した涙のシーンは良かったですね。

それから茶々、小督、はつの幼少期を演じた子供たちの演技が良かったですね、和央ようかさんに代わっても違和感ないように目の演技が良かったです。

そしてなんといってもこの映画の主人公茶々(淀君)を演じた和央ようかさんはとっても不思議な感じがしました。

確かにセリフ回しが、宝塚調っぽくもあるんだけど、なにより台詞が少ない、でも、そんなことよりも、今まで時代劇で見る茶々って、どちらかというとヒステリックというか、感情や欲望がむき出しというイメージのキャラクターが多いけど、全くそういう感じではなく、心の中にいろんなことを秘めているというか、目力の演技がすごく良かった。

怒りや憎しみ、悲しみやさびしさを言葉に出すのではなくて、眼だけですべてを表現しているというのか…表情自体もやはり、あまり表に出さない感じなんですよ。(一見、無表情な感じだけど演技が下手なという意味の無表情ではないんですよね)

でも秀吉の元に嫁ぐ時に、1人佇む姿や目の表情がとても茶々の寂しい気持ちが伝わってきましたし、でも秀吉とのやりとりの中では、とても女性らしい温かさや可愛さを感じることも出来て、摩訶不思議な魅力に引き込まれて行きましたね。

他の役者さんたちも、それぞれにいい演技をしていて、変に力んだ感じでもなく、淡々とした雰囲気の中にも、内なるメラメラしたものを感じることのできる演技が、この作品を上手くまとめたんじゃないかなと思います。

衣装もセットも本当に豪華だったしね。井上靖先生の原作も読んでみたくなりましたね。

個性派の男優や女優が勢ぞろいしている映画なのにそれが全然嫌味なく観れたのは素晴らしいんじゃないかなと思ったんですけどね。
馮美梅

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