トンボのメガネ

火垂るの墓のトンボのメガネのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
3.5
※他ブログからの移転の為、投稿日にズレがあります。

感想の前に個人的な好みではありますが、高畑勲さんの本当の名作は『じゃりン子チエ』なんじゃないかなぁと思っています。

著作権の問題でもあるのか?もしくはコンプライアンス的に内容がNGだからか?TVではほぼお目にかかれていない。
高畑さんの才能がもっともセンスよく光った作品なので未体験の方は是非トライしてもらいたい。

さて、火垂るの墓の感想ですが、
一度目の映画館で観てから数十年… 二度と観たくないと思っていましたが高畑勲さん追悼特番で久しぶりにしっかり観ました。

なぜこんなに観るのか嫌なのか理解していなかったが、二回目を観てすこし見えてきた。
多分人間の嫌なところが寄せ集まったような映画だからなんだと思う。

少年が畑で盗みを働いて捕まった時に助けてくれた警察官以外は、少年を含め皆嫌な所が前面に出てしまっているキャラクターばかり。

子供達も人にお願いをする時の態度は厚かましいし、なにより他人を思いやる姿勢が全くない。それを親に教わってこなかったのなら他人が子供の耳にちゃんと響く形で注意をしてやればいいのに…と思う。

一度目に見た時は心底そう思って大人達に腹がたったが…

二度目の今回は、それをしてくれる余裕のある大人達がいないことが戦争なのだと思い知った。
注意してくれる大人がいる時代は余裕があって恵まれているんだなぁと…

今は戦争中ではないけれど、なんとなく似た空気を感じてしまった。

この映画を見て、余裕がない時に自分はどんな生き方をするのか?そんなことを改めて考えてしまう。

教訓としては存在意義の高い作品だとは思いますが…何度も見たくなるような映画が好きなのでスコアは低めです。