鎌谷ミキ

火垂るの墓の鎌谷ミキのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
4.0
【戦時中を知るとわかる、食料の有難み】

[あらすじ]
「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」 で物語は始まる。両親、住家、すべての財産も戦争に奪われてしまった少年と妹の物語。日本人すべてが生きていくことに精一杯だった時代。幼い兄妹の面倒を見てくれる大人はなく行き場を失った2人は運命に押しつぶされる。飢えだけでなく死がすぐそばにあった。人間の命は蛍の光ほどに儚いものであるという現実を映し、戦争孤児となる少年の感情を描く。

[レビュー]
台風の中大変ですが、この日はやってきます。いつも通り母と見る、戦没者追悼式。
今年の終戦記念日の映画、やっぱりジブリです。長男が観たいということで、長男チョイスでもあります(兵庫の小学校は割と広島に修学旅行となるので原爆ドームに触れる機会が多いです)

「僕は死んだ」のオープニングも衝撃的ですが。序盤の豊かな生活がいきなり母が火傷を負う描写も容赦ない。あげくにウジ虫が湧いていて、長男に説明するのに困りました…

子どもの頃は節子ちゃん悲しいで終わっていたけれど、大人になると清太さんのやってはいけないことが目についてしまい…冷静に観たら泣けなかったですね。長男が泣けるのは、もうちょい後かな。どうにかならなかったのかなというのが、私の見解です。

そもそも清太は嘘をついて西宮の叔母か伯母の家に置いてもらいます。それだけでも遠慮しないといけないのに、叔母が「自分らでご飯作りなさい」と言われて、あてつけに母のお金を下ろし七輪を買って庭で何かを焼く始末。ちょっと清太くん、大人に逆らわない方がいいわよ…

ということで、今回の再鑑賞は感情移入しずらかったです。でも、戦争描写は遠回しではあるけれど実感できました。やっぱり戦争はいけないと思わせます。

ここで宮崎駿監督と高畑勲監督の違いがよく出てました。圧倒的リアリティ。また来年も、戦争映画でこの日を噛み締めたいと思います。
鎌谷ミキ

鎌谷ミキ