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火垂るの墓のmygのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
4.2
小学生の頃、兄がこの映画を鑑賞していた。私は途中からこの映画鑑賞に参加し、「あれ?もう終わっちゃったのか」と思ったのを覚えている。実はそのシーンは冒頭から3分ほどしか経っていなかった。
人間の終わりとされる「死」の告白から始まるこのやるせないストーリー展開は、改めて歳を重ねて観ると、突き刺さるように胸が苦しく、そして人を惹きつける。

時代によって虐げられ、むしゃくしゃした不条理な気持ちをぶつけようもなく、それでも一生懸命生きる兄妹の物語。兄・清太の愚直な優しさと、妹・節子の無邪気な笑顔、お母さんの指輪、すぐに死んでしまうホタル、カラカラと鳴るサクマ式ドロップス。思い出すだけで、黙祷の念に駆られる。

原作の野坂昭如氏がおっしゃっていて気付いたが、清太や節子のような、あの表情や顔は、今の若者とは違う…というか、あの顔は実写版を構成しても、現代人の顔で再現できないというのは、なるほど言い得て妙。それを細微にアニメで投影しているところや、忠実な再現を心がけているところにも、感動を後押しされた。
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