カトゥ

火垂るの墓のカトゥのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
4.0
子供の頃は「戦争は怖いです。よくないと思いました」と思ったし、感想を書けといえばそう書いただろう。
今の目で見ると、この映画の怖さは、戦争とは切り離して考えることができてしまう。
 
それは、知らないことの怖さだ。
主人公兄妹には、親(軍人で地位も高かった)が残した貯金がある。軍属の遺族だから、何かしらの互助組織だって存在していた。でも、それを活用できないまま、人と人とのしがらみや、残念な行き違いによって後戻りできない状況に陥ってしまう。
こんな残念なことがあるだろうか。
貧乏でも生きていけるが貧困は致命的、と何かで読んだが、この2人はまさに貧困そのものだ。 
 
いやもちろん、戦争が無ければこんな悲劇は起きなかった、それは確かだ。でも、戦争だけでは語れない、世界の厳しさが描かれていることは、もっと知られても良いのではないだろうか。さらに言うと、単純な反戦映画として取り上げるにはやや雑だとも思うし、子供の頃からなんとなく感じていた胡散臭さ、“心を持っていかれる”程にはならない感じも、その辺りが理由なのではないか、と思ってしまう。
 
 
僕の好みではない。
いずれ忘れ去られたとしても不思議には思わないだろう。
でも、とても出来の良い映画だということは確かだ。お勉強のつもりで鑑賞させられるのは、勿体ない。
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