自分の人生は自分のもの。
誰にも縛られることなどない。
自由だ。なんでもできる。
…と思っているけれど、
実は運命は既に決められていて、目に見えないけれど、あらかじめ設定されたレールの上を進んでいるのかもしれない。
すべての選択、言動すべて。
それが何かの弾みで狂ったりすると当初の予定、その先の人生や運命まですべてズレてしまう。
だから道を踏み外さないように、監視員の存在や調整という仕組みがあるとしたら……
例えば…
私がお昼に冷蔵庫を開けてモンブランを食べようか大福を食べようかと迷って一度手にした大福を戻してモンブランを取り出したり、紅茶をいれようとしたけど寸前でやっぱりコーヒーにしようと変更したことも。
もしかしたらこの迷いと選択の流れも既に「運命の書」に記されて決められていたことかもしれない。
それが何かの拍子に逆を選んでしまったら…
調整員が来て記憶や行動の操作をする。
これはそんな世界観。
そんな世界観が誰しもに周知されているなら良いけど人間は誰も知るはずがないこと。
そんな状況でそんな世界を知ってしまい混乱する主人公と恋人の心情、描写が面白かった。
調整員の黒ずくめ姿は『シティ・オブ・エンジェル』の天使たちを思い出しますね。
帽子が鍵で街中あらゆる扉が別の場所に繋がるどこでもドア的な役割だったり、ドアノブの回し方にも制限があるなど散りばめられた設定や演出は楽しいです。
ヒロインを演じるエミリー・ブラントも美しくてバレエの場面では見惚れてしまいます。
そんな面白い要素はたくさんあるのに、今ひとつ広げきれなかった感が惜しいなぁと。
予想していたほど緊迫感もないですし。
低評価なのは分かります。
でも個人的には好きな世界観。
締めくくりのナレーションが印象的。
- 人は定められた道を歩く
迷うのが怖いからだ
だが障害を克服して
自由意志を貫く人間もいる
人は命がけで
自由意志の大切さを知るのだ
議長が真に望むのは
人類が自ら運命を書く
そんな日が来ることだ
君には書ける -