凛葉楓流

斬るの凛葉楓流のレビュー・感想・評価

斬る(1968年製作の映画)
3.8
山本周五郎原作なので、期待して観たら、やっぱり正解。
砂煙の中の宿場町、地面に落ちる片腕、辺りをうろつく(犬じゃなく)猫、血気盛んで愚かな若侍たち。ほぼ『用心棒』『椿三十郎』なのがウケる。テンポ感だけでゴリ押していく、繋がってんだかどうか分からない性急なカットの連続。かと思えば、浪人たちが無惨に倒れていくところにも躍動感がある。

仲代達也の朴訥とした声が、どこか『切腹』に(テーマを含めて)似ているのだけど、シリアスさよりもコミカルな印象を与えるのは、他の登場人物が早口だから?
高橋悦史が本当に狂言回しって感じで好きだ。
岡本喜八作品のちょっと悪いところだけど、作品のキャラクターが立ちすぎてて、端役にもドラマを作りすぎな気がするかな。

ラストの直前、泥にまみれて破れた傘を差して歩く仲代達也の後ろ姿が、とても空しい。飄々とカッコいいことをやっている彼だけど、誰よりもサムライなんていう馬鹿らしいものに異常なまでに固執している。
凛葉楓流

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