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ひろしまのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

ひろしま(1953年製作の映画)
5.0
今年も忘れないために観ました。
昨年、いいねして下さった方、コメント下さった方、すみません。昨年のレビューを再投稿いたします。昨年は、点数つけなかったのですが、今年はつけました。たくさんの方に観ていただきたいので。以下、2022年のレビューです。

  忘れないために

戦後まだ8年しか経っていないのに、広島の市民8万8500人がエキストラとして参加し、原爆投下直後の町を再現した貴重な作品。癒えることのない心と身体を抱えて参加した平和への思いをどれだけ受け止められただろうか。毎年繰り返し観たい。

映画は復興が進んできた1953年の広島の高校の教室から始まる。赴任したばかりの教師は、原爆病が数年経ってからも発症すること、生徒の3分の1が被爆していることを初めて知る。広島の外から来た教師の目を通して、時間を1945年8月5日の夜に巻き戻し、原爆の恐ろしさと子ども達の人生の後遺症を描いている。

地獄絵を再現したときのエキストラの皆さんの心中を思うと…言葉にならない。繰り返してはならないから、身を呈して演じてくださった。

原爆孤児だった青年が元防空壕から遺骨を掘り出し咎められるシーンがこの作品のいちばん言いたいところ。

青年は戦争での殺人がなぜ犯罪にならないのかを問い、せっかく勤めた工場を辞めた理由を述べる。工場は軍需工場だった。

本作品が1953年に公開された時代背景に朝鮮戦争とその戦争特需がある。

平和を誓っても8年後には形骸化する誓い。平和への願いを忘れないために作られた作品です。

人は目を背けたいことは忘れたがる。

それと、ヒロシマに限らず、戦争で被害を受けた人ばかりではなく、地域によっては、戦争の傷痕を残さなかったり、軍需で支えられた人びとや地域もある。戦地によっては前線で戦わず辛い思いをしなかった兵士や特権の軍人も兵役免除者もいる。深い傷を残していれば、次世代へ戦争の愚かさ惨さと平和への願いを伝えられるだろうが、そうでなければ伝えられるとは限らない。戦争体験者には温度差がある。

だから、忘れないために繰り返し伝えていかなければならないと思う。
反戦と平和への祈りを。
77年目の8月6日に思うことでした。


⚠️イデオロギーに関しての議論はご遠慮ください。
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