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ひろしまのGTのレビュー・感想・評価

ひろしま(1953年製作の映画)
5.0
 広島に原爆が投下されて僅か8年後という驚異的な早さで制作された映画。広島市民八万人がエキストラとして参加しているとのことで、非常に規模の大きい作品。
 1950年代初頭に作られ、技術も今より遥かに劣る環境での撮影だったはすだが、その描写の容赦なさは大概の戦争映画を軽く凌駕するほど凄まじい。人々は火傷で真っ黒焦げになり、苦痛で呻き声をあげながらヨロヨロとあてどなく彷徨い歩く。主演俳優は勿論のこと、エキストラの方々の演技が素晴らしい。ある人はまるで呆けたように周りに対して一切反応を見せず、またある人は、完全に狂って意味不明な言葉を喚き散らす。まさに「地獄絵図」。そしておそらく、この映画が描写したそれこそ、1945年8月6日の広島の「本当」なんだろうと思う。
 正直いえばこれは評価をするとかそういう部類の映画ではない気がして、⭐︎を付けるのが躊躇われるのだが、「凄まじい映画だったという感想だけが残ったのでこの点数にした。日本人なら、必ず見るべき映画ではないだろうか。
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