スカタン焼き

ひろしまのスカタン焼きのレビュー・感想・評価

ひろしま(1953年製作の映画)
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喜の感情が失われました、地獄に広がっているのは行き場の無い怒り、悲しみ、苦しみが黒と灰色になって蠢いていて、本当に地獄でした。その地獄に閻魔様は居ません。
この世じゃあない何処かの様な光景、これが実際に起こっていたと考えるだけで悍ましい上、今現在私達がどれだけの平和と贅沢の中で暮らしているのだとこれもまた考えて胸が痛みました。
空襲警報が発令される日々は決して完全な平和とは言い切れないのでしょうが、それでも当時の人々は小さな幸せを見つけ一生懸命毎日生きていて、ああ人間の本質は六十六年前でも変わらずにあるべきだと感じました。
幸せ、平凡、平和、日常を一瞬にして奪い去られてしまった、この出来事は日本人であれば決して忘れてはなりません。世界の人々へではなく日本人へ。
明日は生きていないかもしれない、今日も元気に家まで帰って来れるかどうかも保証のない、これに至っては今も昔も変わらないと思います。
大切な人へ言い残す事が無いように、自らの言動を改め、今ある命に重みを感じて生きていきたいです。


終戦から七十四年経ち、今月限定で公開されていたので映画館まで向かいましたが、定員25名のミニシアターは私以外九割お年を召された方々で埋め尽くされ(毎日満席のようです)、個人的にはシネコンで観るより価値のあるものでした。
最も、上映中ハンカチで涙を拭われる方や、啜り泣いている声も微かに聞こえたりすると堪えているものも溢れてきてしまいました。地上波でも放送されるみたいですが、年季の入った映画に抵抗が無ければ現地がオススメです。
スカタン焼き

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