コリドラス

ひろしまのコリドラスのレビュー・感想・評価

ひろしま(1953年製作の映画)
5.0
恥ずかしながら初見でしたが、すごい映画だ。なぜ今まで知らなかったのだろう。

反戦映画は数あれど単なるお涙頂戴な作品ではない。
まだ瓦礫に建つ原爆ドーム、熱くて川に殺到する人々、発狂する者、戦災孤児、数年後に現れる原爆症、そして被爆者への差別。。。
とにかく全てがリアルである。ドキュメンタリーと言ってもいいだろう。

実際の原爆投下後の広島ってこういう状況だったのだろう。まだ記憶が鮮明に残っている時期だからこそ作れた作品で、いま同じ作品を撮ろうと思っても絶対に無理だと思う。

1953年、終戦からわずか8年後に被爆者を含む8万8千人の中高生や教職員がエキストラとして参加した本作からは「平和」を熱望する当時の人々の熱い想いが感じられた。

当時は反米的であるという理由で大手からは配給を断られたそうです。また、教育映画としても日の目を見ることもなく歴史に埋もれてしまった名作なのではないでしょうか。

日本人のみならず世界中の人たちに見て欲しい作品だと思いました。

「工場が急に大砲の砲弾を作り始めたんです。僕はそんなものは作りたくなかったんです。先生!戦争はまた始まるんですか?戦争が始まれば…何の恨みもない人間どうしで殺し合いをさせられるんです」
(朝鮮戦争当時の時代背景からの発言かと思われる)
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