名無し

放射能Xの名無しのネタバレレビュー・内容・結末

放射能X(1954年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

放射線Xとかいうクソダサい邦題がついた大傑作モンスターパニック映画!!
砂漠で精神に異常をきたした少女が発見される序盤からラストのTHEMとの対決まで1秒たりとも無駄なシーンがないのが凄い!

序盤の一切モンスターの正体が分からない不気味な展開や少女が「THEM!!(ヤツら)」と狂乱するシーンとかマジでヤバイ
初登場場面まで一切怪物の正体を見せず推理小説の如く猟奇殺人犯を警察が追うスリラーは今観ても得体の知れない恐怖がある
中盤THEMの正体が分かってからは昆虫学の考察を交えたガチなSFと化し息もつかせぬモンスターパニック映画へ…!

斬新なのがこの映画、ドキュメンタリー的な手法を取っていて登場人物の感傷やドラマ恋愛を一切省き、ただ事実だけを追う物語になっているのが素晴らしい
子供が悲惨な目にあっても悲しむシーンは全て排除されTHEMの考察や追跡に全てを注ぎ込まれているので短時間でハードな名作に仕上がってる
後半はアメリカ全土を激震させるスケールになり大統領なども交えたポリティカルな展開になるが「政治的主張」が一切無い脚本が凄い
50年代はアメリカ万歳!な映画が量産されていたがこのTHEMは米国を讃えるでもなく貶すわけでもない、ただ事実だけを捉えた物語作りになっている
製作陣の政治的主張を極限に押さえつつ原子力への風刺もかねていて非常にハイレベル

ラスト「我々人類は原子力という未知の世界へ挑戦した、これからも想像を超えた恐怖はやってくるだろう」という傍観的かつ感情を排した台詞で締められる
映画クロノスで怪獣倒した後バカップルがイチャイチャしてたラストとは比べ物にならないハードさ!
未知への挑戦は恐怖と常に隣り合わせなのかもしれない…
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