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鍵泥棒のメソッドのyamadakabaのネタバレレビュー・内容・結末

鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

記憶を失った裏稼業の男と、売れない役者と、生真面目な女性編集者が繰り広げるコメディ。

「二人の人生が入れ替わり、喜劇が幕を開ける!」

メソッド演技を目指したこともあった売れない役者・桜井(堺雅人)が、銭湯ですっ転んだ男の鍵を盗む。盗んだ男は裏稼業の男・近藤(香川照之)。転んで頭を打った拍子に記憶を失う。記憶喪失になった近藤に成り代わり、高級車を乗り回し、財布の金を奪い、友人に貸した借金を返す桜井だったが、近藤の依頼人のヤクザ(荒川良々)に絡まれるところから、うまく行かなくなっていく。依頼された殺しはできないから、女・綾子を逃がそうとして、盗聴器に気づかずばれる。近藤のアジトも尾行されてばれる。綾子を巻き込んでヤクザを騙そうとした芝居もばれる。
一方、記憶を失った近藤は、持ち前の几帳面な性格から、桜井としての人生を歩み始める。病院前で出会った香苗(広末涼子)の助けもあり、徐々に生活を取り戻して行き、自分の好きな食べ物を見つけ、役者としての仕事をし、香苗に恋心を抱く。
香苗は出版社に務める編集長で、一流の品を取り上げる雑誌VIPを任されている。生真面目な性格で、やると決めたことはやり遂げる胆力の持ち主。やると言ってできなかったことある?と豪語する。そんな香苗が結婚相手はいないけれど、結婚の予定をスケジュールに入れ、同僚に協力を求める。結婚相手の条件は「健康で、努力家の方なら」記憶はないものの、体は健康で記憶を取り戻そうと努力する桜井(本当は近藤)に運命を感じ、手助けを続ける。
香苗の父の葬式のとき、ベートーヴェンの弦楽四重奏14番を聞いたときに、記憶を取り戻す。裏稼業で暗躍する便利屋だったのだ。
近藤が記憶を取り戻したところから、3人の関係性は加速しだす。ヤクザを出しぬき、危機を脱した近藤は、香苗と別れ、「全部納得して生きてるるやつなんかいない」と綾子にいいながら、ひとり事の顛末を収拾しようとする。そのとき桜井が自殺する原因となった恋人と写る写真を見て、気持ちに正直になり香苗の元に戻るのだった。桜井にも恋の予感が訪れハッピーエンド。

香川照之が几帳面で悪い男を、堺雅人がガサツでダメな男を好演。立場は変わっても、うまく世を渡る人は渡り、下手くそは下手くそな行いをしてしまうそんな悲劇も、当事者でないと喜劇に見える。

香苗の合コン相手としてムロツヨシがちょっとだけ出演。

前半に出てきた細かい伏線が回収され、話が収まるべき形に収まるのが、心地よい。そんな映画。
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