ほんといい映画。見終えた後、元気になれる、ハッピーになれる作品っていいなぁとあらためてしみじみ思った。
「鍵泥棒のメソッド」の脚本が素晴らしいのは言うまでもないとして、ここで語りだしたらとまらないので、冒頭の10分について。
映画の脚本で最も重要な部分はやはり最初の10分で、この映画を10分見ただけで名作だと思った。
主要な登場人物が3人いるわけだけど(この3人は全員知り合いではないので一人ずつ紹介していく必要がある)
3人がどういうキャラクターなのかをすごく端的に描かれていて(例えば香苗の大真面目な性格は消ゴムのかすを掃除機で吸ってから帰る、というシーンで表現している)
3人ともばしっとキャラを立たせた上で、コンドウと桜井が風呂場で入れ替わるという事件が起きる。
ここまででたったの10分ちょっと。
この無駄のない脚本に感動し、10分見ただけでこれは名作になるなと感じた。
というのも、観客は10分程度でその映画が好きか嫌いかを決め、共感できそうになければそこで集中力が切れてしまうし、
このお話は殺し屋のコンドウと売れない俳優の桜井が入れ替わって真逆の生活するところが見物なので、できるだけ早く入れ替えさせる必要があるわけだけど、だめな脚本はこれができていない場合が多いからだ。
あと入れ替わりなんて山ほどあるのに、見せ方次第なんだと思った。ありきたりと王道は違うんだなぁ。
「運命じゃない人」「アフタースクール」ときて、本作「鍵泥棒のメソッド」は内田けんじ監督の集大成って感じがする。すべてが完璧!
上映からもう7年が経つので、そろそろ新作お願いします!!!!