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回転のadeamのレビュー・感想・評価

回転(1961年製作の映画)
2.5
ヘンリー・ジェイムズの怪談小説の名作を映画化した心理ホラーの古典。
親元を離れお屋敷で暮らす幼い兄妹の家庭教師としてやって来た主人公が、何者かが屋敷に潜む気配や何かを企んでいるような子供たちに次第に恐怖を募らせていく物語です。
遠くにこちらを見つめる人と思しき何かがいたり、暗闇の中に何かの存在を感じたりといった引きの恐怖演出が素晴らしく、主人公の誇大妄想と悪霊の存在、そして無垢に思えた子供の邪悪な本性と様々な可能性を残したまま話が進んでいくのが良かったです。
さらに主人公の少年への接し方がやけに性的で、挨拶にしては濃厚すぎるキスの交わし方や、母性を超えた抱擁の仕方が品行方正な雰囲気だった主人公への信頼感を揺らがせ、観客を惑わせているのも巧みでした。
しかし終盤のエクソシスト的な展開は淡々としていたストーリーのクライマックスとして盛り上がりを提供してはくれるのですが、見せすぎていることで解釈の幅を狭めてしまう描写だった気がして残念でした。
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