Bobsan

回転のBobsanのレビュー・感想・評価

回転(1961年製作の映画)
5.0
この難解な作品の解釈は原作も含めて様々ありますね。観た人(読んだ人)それぞれにいろんな解釈が出来る作品なのでどれも正解だと思います。僕はこの物語はセックスに纏わる物語だと思いました。
イギリスというお国柄。19世紀末の性に対する抑圧的な風潮。田舎牧師の娘として純真無垢に育ってきたであろうギデンスの処女性。子供はセックスとは無縁の穢れのない純粋な存在という思い込み(子供は非力ではありますが純粋ではありません)。それら上っ面の"イノセント"を堅持して生きてきたギデンスが、人間が持っている本能としての性欲が元で身を滅ぼした男女の亡霊の出現によってバランスを崩し、彼女の精神がそれに耐えられずにガラガラと崩れていく様を残酷に描いているのではないかと思いました。
なので最後、マイルズはショック死したように見えますが、あれはギデンスが(衝動的に)マイルズの首をねじを回転させるように捻って殺したのだと思います。
映画冒頭で「私はあの子達を救いたかっただけなんです」と話すギデンスの言い訳は、世間知らずで無知な自分、本心はセックスを渇望している自分を認められない哀れな姿のような気がします。
Bobsan

Bobsan