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鉄男 TETSUOのandesのレビュー・感想・評価

鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)
3.6
「鉄になる」一本勝負。稚拙な部分は多いものの、しっかり「映像」で表現しており、映画になっている。撮る側の人には、「どうすれば映画になるか」という良い研究材料だろう。
既に指摘があるように、「イレイザーヘッド」がまず思い浮かぶ。ただ、初期サム・ライミのようなバカ映画の趣もあり、ヤン・シュヴァンクマイエルのような気味悪いコマ落としもあるごった煮映画。好き嫌いが確実に出る映画であるが、コメディとして見れるか否か、が評価を分ける気がする。
チープさを逆手に取ったザラついた映像はインディー映画のクリシェと言っていいだろう。荒唐無稽で不可解だが、あまり考えるタイプの映画ではなく、勢いに任せる演出に身を任せる作品。とはいえ、短編で出来ることを思い切り引き伸ばしているので、後半は飽きる。ラストは滅茶苦茶であり、深読みを嘲笑う。
良い仕事をしているのは劇伴で、インダストリアルなサウンドが脅迫的で、映像と相まって「なんかすごいものを見ている」錯覚に陥る、笑。音楽がなければ駄作といっていいかもしれない。
さて、至高のアートフィルムか、ナンセンスコメディか、アングラの自己満足か。ギリギリを攻めながら、何処にも留まらない怪作である。10代のときに見れるべき(拗らせるから見ないべき?)映画。
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