恋人と一緒に轢き逃げ行為を働いた青年（田口トモロヲ）が、肉体の金属化現象に落とし込まれてしまう。鉄と金属に侵食されていく青年の苦悩を描いている、サスペンス・ホラー。
（"ニューHDマスター版Blu-ray"で再鑑賞したため、再レビュー）
多彩なイマジネーションとカット・ワークを活用することにより、肉体の破壊と再生を具象化している作品。もはや狂気的ともいえるレベルであり、「これって、鉄男っぽいよね」という言い回しを発明した、記念碑的作品と言っても過言ではない。
田口トモロヲのドリルチンコにインパクトが集約されているが、恋人のエロティックな仕草にインダストリアル系のガキガキ音を被せてくる演出が、超絶カッコいい。アパートの一室に鉄の肉塊が暮らしているというコメディも最高に笑える。
轢き逃げの被害者（塚本晋也）が復讐に出ていることは理解できるのだが、被害者視点のドラマが抽象的に描かれているため、"敵対相手の境遇に同調しづらい"という難点が見受けられる。だが、余白部分を感覚的に受け止めることができるので、結果オーライ。
