のき

ロスト・ワールド/ジュラシック・パークののきのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

名作の続編は期待はずれも多い中で、ジュラシックパークのその後のストーリーとして、スッと入ってくる設定で面白かった。
前作以上にティラノとラプトルが満載だった上に、街に上陸して暴れまわるティラノの新鮮な映像も観れて大満足。前作でステゴサウルスも見たかったと思ってたから、最初に登場してテンション上がった。

マルコムが主役なのも嬉しい。前作のような陽気な天才キャラではなくなってたのがちょい残念だったけど。人物の描き方については、前作が恐竜に感激したり愛着持ったり恐怖したり、色んな感情の描写がとても丁寧だった分、2では若干物足りなさは感じた。恐竜が恐怖の対象になりすぎてたような(…ま今回は柵なしの自然に生息する恐竜相手に進むストーリーだから、当たり前といえば当たり前だけど)。前作に登場した子どもたちは、もちろん恐怖も大きかっただろうけど草食動物と触れ合ったりしていたのに比べて、ケリーの体験は恐怖ばっかりでトラウマにしかなってないだろな。あとサラがいい大人のわりに結構トラブルメーカーだった。

ただ今作も、スピルバーグならではの演出が凄かった。草木や水面の動きだけで恐竜が迫ってくる緊迫感を増幅させる描写とか、ティラノに落とされたトレーラーのガラス一枚の上にサラが落ちたシーンも、ヒビがゆっくりパリパリ入っていって今にも落ちそうな緊迫感が凄かった。
エディすごい助けてくれていい人だったのに案の定喰われた。ジュラシックパークあるある早く言いたい。ハゲてる人喰われがち。

「まるで”白鯨”の船長だ」とか、小説を引き合いに出すことで知性を感じさせたり、たった一言でキャラクターを性格付けるようなセリフは凄いなと思う。

直接的なセリフは少ないものの、育てていた人の手が及ばなくなった島でも、恐竜は個々に環境に適応しながら生き永らえ繁殖していて、人知を超えた自然と生命の尊さ・壮大さを感じられる作品だったし、いざ人間によって生み出された古代生物と共存していくとなった際にどうあるべきかを考えさせられた。現代の絶滅危惧種動物の保護問題とか、土地開拓とか狩猟とかですでに人間社会が大いに影響を与えているからとても難しい問題だけど、知性を持った人間の責任として、都度ルールを決めてうまくやっていくしかない。なにもかも反対すれば人類みな健康的ベジタリアン生活になっちゃうし、人間も生態系の一部と捉えてある程度許容をしていくことも大事。乱獲も絶対にいけないけど、資本主義社会で生きる自分たちも、利益や利便性を追求するあまり無意識のうちに自然破壊に加担していることは自覚しなければいけないと思った。
まあ、そんな小難しいことは置いといて、生命は偉大で止まらないということをドーンと教えてくれるような素敵な映画でした。

次の主役は俺だと匂わせるようなラストのプテラノドンの咆哮、カッコよかった。次回も期待大。
のき

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