このレビューはネタバレを含みます
概ね、おもしろかったと思うのですが、巧妙に、そして陰湿に家族を心理的に追い詰め、崩壊に導こうとしていたエスターが、唐突に色仕掛でジョンに迫った挙げ句、呆気なくフラレた途端、大味な殺人鬼に変貌してしまうあたりは、些か性急だったかなと感じました。
あと、エスターが実は特異体質の成人女性でしたというオチは、子どもに人殺しをさせるなんてけしからん!という道徳的なものに配慮した逃げ道なのでしょうか。
正直、大人だと判明して納得したのと同時に、幾分か冷めた気持ちになってしまったのも否定できません。
チャイコフスキーを完璧に演奏する感受性豊かな女の子が、ただひたすら人を不快にさせる、という方向性を徹底的に突き詰めたものを観たかった気もしますが、そうしなかったからこそ、エンターテイメントとして成立するのでしょう。難しいものです。