眠人

海辺のポーリーヌの眠人のレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
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エリック・ロメールらしい皮肉が効いた恋愛喜劇。舞台は夏場のノルマンディ。15歳のポーリーヌは従姉妹のマリオンと共にバカンスで別荘に滞在することになる。魅力的な彼女たちの周りには、当然ながら有象無象の男どもが群がる。そこから、騒々しいドタバタした恋愛(なのか?)が繰り広げられるという流れ。

物語序盤で登場人物がワインを片手に、それぞれの理想の恋愛について詩的に語り合うのだけれど、彼/彼女らが実際行っている恋愛は、理想の恋愛とは真逆のもの。みんな向いている方向がばらばらで、一人で勝手に突っ走るものもいれば、その場凌ぎで嘘をつくものもいたりと、なかなか上手くいかない様子。若いポーリーヌが一番冷静で周囲の大人たちをよく観察しているなと感じた。結局、誰もその恋を成就させることなく夏は終わりを迎えていくのであった。やれやれ。

ポーリーヌが窓を開け放つ姿を後ろから撮影した有名なカットはやはり美しかったし、別荘の庭園の青青しさや潮風が木々の葉を揺らす様からは夏の匂いがしっかりと伝わってきた。映像だけでもご飯3杯行けそうだなと思った。
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