それぞれの立場で、それぞれに身勝手な、大人たちの恋愛と、大人たちに憧れながらも、無垢な気持ちを大事にしているポーリーヌの、ひと夏の絵日記のような作品。
「言葉多き者は災いの元」
エリック・ロメール作品の定番、冒頭の格言の中で言っている通り、身勝手な大人たちのミステイクに翻弄されるポーリーヌやシルヴァンたちを観ていて、感情移入するのか、イライラするのかで、この作品に対する印象は変わるかも。
それは、ひと時の甘さをくれる、チューインガムみたいなものだから。
誰もが経験したことのある、ある甘酸っぱいチューインガム。
感じ方は人それぞれ、この味は難しいな…、と、ぺっと吐き出す人もいるだろう。
ポーリーヌのあの年頃特有の恋に恋する可愛らしさ、カメラが映し出すこの時期のノルマンディーの美しさに、個人的にはずっと噛んでいたいチューインガムであった。
大人たちが繰り広げる恋愛劇に節操のなさを感じながらも、こんな夏はきっと永遠になくならない。