するとら

海辺のポーリーヌのするとらのネタバレレビュー・内容・結末

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

大人びた少女ポーリーヌと
周りをざわつかせる美女のいとこマリオン
そんな二人の恋路が海辺の爽やかな風景で描かれる

エリックロメールの描く女性描写はとても緻密でリアリティがありますが
本作はそんな女性が思わず夢中になってしまうような男性がすごく丁寧に描かれていました
禿げ上がった中年のアンリと
若くハンサムなピエール
見た目では圧倒的に有利なピエールですが色女であるマリオンはピエールに一切靡くことがない
アンリは一人の女性に執着することが無く 恋に関しても移り気 それなのに落ち着いていて理性的に見せるのが上手い 
優しくてその場だけの甘い言葉を掛けてくるがその言葉には信用性がなく放って置いたらいつの間にか何処かに行ってしまいそうな危うさがある

対するハンサムなピエールはとっても感情的 突然キスをせがみ アンリに嫉妬してはマリオンにぶつける  
アンリを落とすような発言を繰り返すもマリオンのアンサーはこう「あなたがアンリを悪くいうほどアンリが魅力的にみえる」結局はここに尽きますよね
余裕の無い男はみくびられるしマリオンのような情熱的なモテ女とまでなると容易く見透す事の出来る男なんぞ夢中にはなれない
「子犬のように付き纏われるのは散々!」作中のマリオンのセリフですが様々な男に言い寄られるようなマリオンはその中の一人にしか過ぎないような男は相手じゃないと

そんな対極的な二人の間に挟まれるマリオンと マリオン達の三角関係に巻き込まれてしまったポーリーヌとその恋人
物語がどこに終着するのかと見ていましたが最後の展開には納得しました

マリオンのセリフ「お互い反対のことを考えたら良い」
ものは考えようでどっちが浮気してたってお互い納得いく方に都合よく考えたらいいじゃない
現地の野郎共に散々振り回されるも何の未練も残すことなく避暑地を去る二人の姿
繊細で美しくちょっと可笑しな一夏の恋をこうも優雅に描くとは…
こんな夏を過ごしてみたい人生でした!
するとら

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