くりふ

海辺のポーリーヌのくりふのレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
3.0
【恋の恥知らず】

アマプラ見放題にて。ロメール“喜劇と格言劇”シリーズ第3作。今の所、順番通り見てる。

避暑地を訪れた15歳の少女、ひと夏の体験…とか聞くと、甘酸っぱい恋心とロストバージンなんか連想しがちですが…ロメールがそんな、サッカリン映画を撮るはずもなく。

犬や猫でも恋はする。むしろ、発情期が決まっている分、人間より分別があるのかも?ヒトはいつどこでも、火が着けばサカるからね。

犬や猫がもし人語で会話できたら、発情期でない時に本作のような、痴話喧嘩を延々やっている気がする。まさに“犬も食わない夫婦げんか”とはコレだよね。

ただ、ここまで冷静に、修羅場を持続できるのはフランス人ならではか?とも思う。

あと、やっぱりこれは映画ならではの、覗き見の味わいだ。他人事だから冷めていられる。自分事だと、犬や猫と同じくサカっているのに、気付けなかったりするものね。

ポーリーヌ役アマンダ・ラングレより、彼女のメンターだか何だか分からない役の、アリエル・ドンバールの存在感と肢体が圧倒的で、本作の要でしょう。彼女を抜いたら本作、かけそばみたいになりそう。前作で監督は、彼女のポテンシャルに気づいたのじゃなかろうか?

フール・オン・ザ・ラブな皆さんを眺めていると、大仰に捉えれば、人類の終わりを目撃している気分になります。自分が犬や猫と、どこが違うのか、ぜひ彼らに聞いてみたいです。

<2023.12.7記>
くりふ

くりふ