寝耳に猫800

海辺のポーリーヌの寝耳に猫800のレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
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@新文芸坐オールナイト

男女の誤解とすれ違いと予想外の事態を連続させることで好意と嫌悪の矢印をコロコロと変えていくところにラブコメの流れがある、構成にはサスペンスっぽさもある

前半の恋愛談義を聴いていても飽きないが、やはりグッと面白くなるのは上記の誤解やすれ違いが生じ始める中盤あたりからだったように思う(ロメール作品にはそういう、スイッチの切り替わる瞬間がある気がする、本作の前に見た「友だちの恋人」では1時間過ぎてそれがあった)

男女二人の愛だ恋だの話も面白く観られるが、その話をしているとき横に3人目(4人目)が一緒にいるときが一番面白い、話されている内容よりもなんとなく近くで聞いている彼ら彼女らの反応をいちいち観察してしまう、特に好きだったのは男女2人が庭で話しているときに後ろのテーブルで食事をしているポーリーヌ、彼女が映り込んでいるときの落ち着かないような気を使ったような反応、カメラが動いてもポーリーヌがフレームインしたままなのでもちろん意識的に登場させている、そうすることによって恋愛の話に少し滑稽さが加わる感じがある
(例が適切か分からないが、終電近く、駅の改札前でイチャイチャしているカップル、2人にとっては目の前の相手しか見えていないがあれを近くで見ている感覚、熱と距離を保つことで恋愛にコメディが生まれる)

本作は車が入ってきて始まり、出ていって終わるのでかなり始まりと終わりがカチッとしている、作品としてとても見やすい

追伸:浜辺で売り子と話をしているときに、後ろでずっと犬が二本脚で立って柵の中を覗いている、ああいうのをNGにしないところが本作のいいところだと思った、他にも二箇所くらい犬が見切れている