erico

海辺のポーリーヌのericoのレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
4.0
15歳のポーリーヌと年上の従姉妹が過ごす、海辺の街でのヴァカンスの物語。ポーリーヌの淡い恋心と、ほんとうにささやかな事件が起こるだけの映画なのだけれど、なぜか幸せで胸がいっぱいになってしまう。

控えめでおとなしいポーリーヌと、快活で奔放なマリオンのそれぞれの恋が、少女と女性の対比とともに鮮やかに映し出される。主に6人の登場人物で形作られるこの小さな世界は、実は年代がうまく分散されていて(主に見た目で判断)それぞれのステージの類型としても捉えられるのかも知れない。

小ずるかったり面倒くさかったりする男たちに振り回されて、胸を痛めたり怒ったりする彼女たちは、それでも自分たちの足で世界に立ち、自分たちの目で世界を見ようとする。ラストシーンのポーリーヌとマリオンの清々しさは、彼女たちが馴れ合いではないところで互いを尊敬しながら、自分自身で世界に向き合う強さが生み出すものなのだろう。

ヴァカンスという一回性のなかで、彼女たちの瞬間の煌きはより愛おしいものに思える。ただ、いくらアバンチュールとは言え、マリオンは男の趣味を何とかしないとね。

アンスティチュ・フランセ東京
erico

erico