Jeffrey

失われた心のJeffreyのレビュー・感想・評価

失われた心(1947年製作の映画)
3.0
「失われた心」

本作は1947年にカーティス・バンハートが監督したジョーン・クロフォード主演のノワールで、この度DVDにて初鑑賞したが面白い。物語は、朝のロサンゼルスの町中をデイビットと放心状態で呟きながら倒れた女ルイーズは、担ぎ込まれた病院のウィラード博士の麻酔治療によって過去を蘇らせていく。実業家のグラハム家に派出看護師として勤めていたルイーズは、近くに住む建築家デイビットと知り合い愛するようになるが、彼は若さを失ったルイーズに興味を失っていく。ルイーズは彼の思いを切れぬまま、妻を自殺で失った孤独なグラハムの求婚を受け入れる。ナチスを逃れてアメリカに亡命した監督のバンハートは幻想、回想シーンを対応することで知られている監督で、この作品でも妄想や裏切り、嫉妬を表す様々なシーンが夢幻的に語られている。ルイーズ役のジョン・クロフォードは47年度のアカデミー賞にて主演女優賞にノミネートされた芝居を見せてくれている。とにかくフラッシュバックで描かれていく物語で、徐々にストレスが次第に女の心を蝕んでいく過程が見られる。かなり重い作品だが、見所はあり、カメラワークも流暢で、基本的にはゆっくりとパンしていく。それから風の音や時計の音、雨の音までノイズが耳に残るような音の世界観が良かった。それから口論ばかりするシーンがある。女性の内面が見られる映画としても語れるんではないだろうか。区別がつかない主人公の女の世界の主観的で曖昧な感覚がノワールなのかもしれない…
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