カタパルトスープレックス

ファンタスティック Mr.FOXのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)
4.5
ロアルド・ダールの小説『父さんギツネバンザイ』をウェス・アンダーソン監督がストップ・モーション・アニメーションで映像化した作品です。ロアルド・ダール+ウェス・アンダーソン+ストップ・モーション・アニメーションってだけでシビれますよね。

まず、この頃(2000年代)のウェス・アンダーソン監督作品は音楽がいいです。ブライアン・ウィルソンにローリング・ストーンズ。ラストを飾るのがボビー・フラー・フォー『Let Her Dance』。パルプのジャーヴィス・コッカーも声優で参加しているほか、楽曲の提供をしています。

最近のウェス・アンダーソン監督作品はNetflixの「ロアルド・ダール」シリーズでもそうですが、読み聞かせ的なアプローチが多い。つまり、セリフが多い。本作ではまだそのような傾向が出てなくて、役者の演技がストーリーテリングの中心となっています。

Mr. フォクシー・フォックス(ジョージ・クルーニー)の表情がとてもいい。やさしいのだけど、野生動物としての自分を制御しきれない。それで周りを困らせることになったとしても。その複雑な表情がとてもいい。あと、ヴィランのラット(ウィレム・デフォー)の子悪党感が好き。

すごくファニーなんだけど、感情に訴えかけてくる。そういうのがウェス・アンダーソンの持ち味だったよなあ……と思わず遠い目になってしまいました。すごく好きな作品。