一人旅

ギャンブラーの一人旅のレビュー・感想・評価

ギャンブラー(1971年製作の映画)
5.0
ロバート・アルトマン監督作。

『M★A★S★H』(1970)、『ナッシュビル』(1975)の奇才:ロバート・アルトマン監督17本目のレビューは1971年制作『ギャンブラー』。アメリカの作家:エドマンド・ノートンによる1959年発表の小説「McCabe」をウォーレン・ベイティとジュリー・クリスティの顔合わせで映画化したものです。

20世紀初頭、カナダとの国境沿いにあるアメリカ北西部の小さな炭鉱町を舞台に、同地で売春宿の経営を始めた賭博師の男:マッケーブの数奇な生き様を見つめた異色の西部劇で、売春宿の共同経営者となった紅一点のヒロインとの微妙な距離を保った恋愛模様を軸に、売春宿の買収を企む鉱山会社が送り込む刺客たちとの対決の時を迎えていく男の儚き行く末を描き出しています。

雪に覆われた米北西部の僻地で、避けられない自身の宿命に直面した男の最期の勇姿を淡々としたリズムの中で詩情豊かに綴った異色ウエスタンで、物語の要所で流れる“私はあなたの人生の途中停車駅に過ぎない”の物悲しい歌詞が、惹かれ合いながらも親密にはなれない不器用な男女の儚き未来を暗示しています。小さな炭鉱町に舞台を限定した上で淡々と人間模様が映し出される作品ではありますが、複数の刺客たちとの対決クライマックスでは西部劇らしい緊張感に満ちた動的展開で魅せ切ってくれます。

主演のウォーレン・ベイティが飄々としながらもいざという時は勇気を振り絞る男を妙演していますし、相手役のジュリー・クリスティも娼婦たちの取りまとめ役として気丈な女性像を体現しています。
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