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ギャンブラーのarchのレビュー・感想・評価

ギャンブラー(1971年製作の映画)
3.0
ロバート・アルトマンに絶賛ハマり中かつ西部劇ということで鑑賞。『イメージズ』よりも『ロング・グッドバイ』に近い。

ハリウッド的なカッコいい男の物語を相対化して、お話を作ってるい感じで今回は"西部劇の男"を解体する。

最初、あのビルを殺した男だと称されて登場する主人公。また賭博師として大きな面をして登場する為、そういったハードボイルドな典型的"早撃ちのガンマン"なのではと思わせる。だが、蓋を開けてみるとただの見えっぱりの男であった。
その噂の真偽としては真ではあるのだろうが、特に武勇伝になるほどのものでもなく、彼は男らしい男ではなく、"男らしさに固執した男"なのだ。
飲み屋兼娼館を経営して、女を道具として扱うことで自尊心を満たす一方でその商売女にガチ恋してしまい、その恋心に思い悩んでいる始末。
憧れと現実の不一致に悩む姿、特に虚勢をはる様には人間味を感じさせられてとても良く、それがかつてのハリウッド式の男性像その相対化された人物像として興味深いものになっている。

最後のガンファイトも本当に端々に情けない場面があり痛快。その直前で思いを伝えられたがいいものの、結局自信の虚勢を付けを命で払うことになった男。
鼻で笑ってしまう皮肉の効いた喜劇、まさに『ロング・グッドバイ』にも通底するものであり、これがロバート・アルトマンなのかと納得できた。
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