Sari

ギャンブラーのSariのレビュー・感想・評価

ギャンブラー(1971年製作の映画)
3.7
ロバート・アルトマン監督による異色西部劇。

19世紀から20世紀へと移りゆく時代、ワシントン州とカナダの国境近くの町に、三流のトランプ賭博師ジョン・マッケイブ(ウォーレン・ベイティ)が流れてくる。彼は鉱夫たちから巻き上げた金で、荒れ果てた町に賭博場を建ててしまう。やがて男勝りな娼婦コンスタンス(ジュリークリスティ)と手を組み娼館を開いてさらに大儲けするが、その町を乗っ取ろうとする企業がマッケイブの命を狙う…。

アルトマン映画の独特のモヤっとした画調であり、荒廃した時代背景を反映してか、終始画面は暗く、屋外での芝居は夜のシーンばかり。アルトマン監督はこの作品をドキュメンタリー・タッチで撮っており、俳優たちのセリフや効果音も同時録音を行ったのであろう、うらぶれた地方の酒場の雰囲気が生々しく表現されている。
それ故にドラマ的な起伏には乏しいと言わざるを得ないが、深々と降る雪の中のおよそ活劇らしくない撃ち合いがアルトマン演出の真骨頂で、異様な迫力がある。
敵は皆倒すが自分も深手を負ったマッケイブは雪の中埋もれるようにして死んでいく。
その中に一片のヒロイズムもない厳しさ。
名手ヴィルモス・ジグモンドが捉えた映像、ウォーレン・ベイティ、ジュリー・クリスティ、アルトマンお抱え女優シェリー・デュヴァル、キース・キャラダインというくせ者俳優たちの共演は、さすがに見応えがある。

2023/10/09 DVD
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