大道幸之丞

女が階段を上る時の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

女が階段を上る時(1960年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

自分にとって初成瀬巳喜男作品。圭子役高峰秀子の魅力で引っ張る作品。

ストーリーは喫茶店のレジ打ちをしていた若い未亡人圭子を後にマネージャーとなる小松 (仲代達矢)にスカウトされて銀座のバーで人気ホステスになった。その圭子をめぐる銀座のバー界隈で揺れ動く女性と男性の日常を描く。

まだ銀座が「クラブ」との名称を使う前にざっくり「バー」と呼ばれていた頃の話。企業の重役連中を中心に人気ホステス圭子に逢いに店に集まる男たち。しかし圭子は未亡人ではあるものの身持ちが固く、それが故に客たちが落とさんと躍起になっている。

独立したホステスの店に太い客を奪われたり、かと思えば金策に行き詰まり自殺してしまう者。店を持たないかとギブアンドテイクを持ちかけやはりママを口説こうとする。マネージャーの小松も実は圭子に好意を寄せている。

密度の濃い人間関係の中で決して世渡り上手でもない圭子は様々な誘惑にも振り回され挙げ句結婚詐欺に引っかかってしまったりする。

時代背景はさておき人間模様の描き方が非常に上手で「生身の人間」と感じられ引き込まれながら最後まで鑑賞させてもらえた。ラストは「それでも私は生きていく」的で、ハッキリ起承転結のあるものではないが、個人の描き方が巧くいい作品だった。