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クラッシュのTOTOのレビュー・感想・評価

クラッシュ(2004年製作の映画)
3.7
「善と悪と曖昧さ――」

もう20年前の作品なんですね。
2004年のアカデミー賞作品賞。
当時は、面白いし好きなタイプの映画だけど、でもオスカー作品賞? と微妙な気持ちになったのを覚えています。
今、見直してもやはりその感想は変わらずで。
でもそんな大それた賞を意識しなければ程良い佳作です。

クリスマス直前のLAを舞台に、人種差別や性差別、犯罪、人身売買などをテーマとしています。
演出は「ミリオンダラーベイビー」のシナリオを担当したポール・ハギス。初監督作品。
人間は多面的な生き物で、それぞれに善良な部分と邪悪な部分を持ち合わせている。
このシナリオは、その部分を大切に扱い、善悪の曖昧さに向き合って書かれています。
ハリウッド作品なんか見てると、単細胞なキャラクターばかり登場するから、当時、このシナリオは新鮮だったのでしょう。
まして、この頃の人種差別問題に対するヒリヒリ感は今よりもセンシティブでアンタッチャンブルだった筈です。
そんな世相も影響したんかな?

ただし、ちょっと漫画的だし、ご都合主義に過ぎます。
鮮やかな伏線回収――、とか言ってますが、完全にその場しのぎのつじつま合わせです。
それだけがちょっと残念。
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