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カインの末裔のかずシネマのレビュー・感想・評価

カインの末裔(2006年製作の映画)
3.2
下敷きとしてあるのは、そのまま有島武郎の「カインの末裔」と旧約聖書のカインとアベルの話。

自分がした行いが、自分で予想ができ目に見えている事のみでは留まらず、水滴が落ちて広がる波紋の様に周囲に影響を与える。
ひとつ、償えたと思っても、またひとつ、ふたつ、みっつと償いが増えていく。
でもなんだか、この人の場合は「この街に来てしまった事」そのものが間違いだった気がする。
自分の為にも、来ちゃいけなかったのだと思う。
そのレベルの事やと、もうそんなんどうせぇっちゅうねんって話やけどな。
周りの人達の方がおかしいし。
でも「おかしいのが普通」の所に「異物」が混入して調子が崩れたって事やもんな。
そうやなぁ、、昔の罪や「街に来た」まではもうどうしようもないとして、トモロヲの誘いを断ってたら何か違ったんかなぁ…。

この何もかもが「いかにも」な雰囲気はとても好きなんやけど、もうちょっと血生臭くても良いかもな。
工場の煙やオイルの臭いがして来そうでして来ない。泥で汚れた様な臭いもして来ない。もっと汚して仕上げてほしい。
…と思った。比喩やけどな、勿論。
この街にはもっと、どうしようもない諦めが漂っていそうに思うんよ。

古田新太の髪型可愛いなw
こういう胡散臭くて怒らせると怖い、何考えてんのか分からん系の役を演ってる時のトモロヲは結構好き。
「貴方は朝から焼肉を食べるとどんな気持ちになりますか?」
「ムカムカします」
「…(頷いて)ムラムラしますねー!」
だけはベタ過ぎて吹いたw

舞台はパラレル川崎やったけど、これ地元の人的にはどうなんやろか。

ラストシーン、綺麗だった。


小学校高学年か中学生くらいの女の子にズボンの上から男の股間を押さえさせるシーンがあったのが気になったけど、勿論あの手は大人で、本人にはさせてないよな?
それか子供に見えたけど成人してたりするんかな、あの子。
もっとうんと昔の作品なら、子供のそういうシーンがあっても気にせん様にしとるけど、これは2006年度の作品やからな。ちょっと気になるわ。
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