ち

容疑者Xの献身のちのネタバレレビュー・内容・結末

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

いつ観たのか忘れてしまったけど、急に観たこと思い出したから記録。

犯人がわかっとって、犯人がしとることもわかっとって、湯川先生がそれをどう紐解いていくかを視聴者が見るっていう視点で、いわゆる刑事コロンボ方式?(刑事コロンボかポアロか忘れてしまった)

最初はストーカーかなって思っとったけど、話が進んでいくにつれて、『死』に一直線に向かっていきながら真っ暗な世界で生きとる石神と真っ直ぐで純粋な太陽みたいな明るさで石神を救った花岡親子の関係性を知った。

まさしく石神の花岡親子に対する思いと行動は献身で、見返りを求めず2人を救いたいっていう気持ちからやったと思う。
天才的な石神の考える計画は本当に緻密で、同じく天才的な湯川先生やからこそ読み解いていけるっていうのを観るのがワクワクした。
湯川先生の推理を聞くことで伏線に気づいたり、トリックをあらためて噛み砕いて理解したりできた。
最初に犯人視点なかったらもう少し理解しにくかった気がする。

実は張られた伏線の答えがホームレスやった時本当に怖かったし、恩人を救うためなら人1人の命をなんとも思わず駒としか思わん冷酷さに震えた。
良くも悪くも石神っていう人間の人間性に触れた気がした。

最後の場面が本当に印象的で、機械的に自分の計画通りにことを進めて、花岡親子に実害がいかんように努めとった石神やけど、花岡親子は石神が思っとったよりずっと生身の人間で、自分のことだけを考えて助けてくれた石神を身代わりにして自分だけ罪を逃れることができんかった。
たぶんあそこで『ありがとう』とだけ思って石神が警察に出頭するのをただ放っておくような人間やったら、石神を救えてなかったんじゃないかと思う。
死の淵におった石神を救えるほどあったかくて柔らかい存在やったからこそ、石神の計画通りに行かんかったっていうのが皮肉で、人間って複雑な生き物やなあと思った。
石神はきっと本心から『2人には穏やかに幸せに暮らして欲しい』って思っとったと思う。
あの時の慟哭は計画通りに終われへんかったことに対してなのか、ここでこうなるなら今まで自分がしたことは何やったんやって気持ちからなのか。

まとめると本当に面白い映画で、さすが原作東野圭吾やなと思った。
また観ると思います。
ち