サンヨンイチ

容疑者Xの献身のサンヨンイチのレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
4.7
落涙必須の愛の物語として非の打ち所のない不朽の名作。
ちゃんと今見ても面白いのは素晴らしいし手強い。

とにかく堤真一の剛柔備えた演技の力に説き伏せられる。
ドラマシリーズは未見だが明らかに曲者の湯川でさえ
なす術なく翻弄されているような
決意に満ちた人間の最後の力を見せつけられる。
湯川でさえ気圧され、その正体を証せなかった(殺人を犯すなど絶対に選択しないと言わせしめたその石神が殺人を犯す)真相が
冒頭の湯川と内海との会話の中にある“愛”の存在に繋がっていくという一種の円環構造はベタだが周到。

エンドロールの『最愛』はあまりにも本作との親和性が高く、
鼻につくような優秀すぎるラストは
湯川と内海の会話のシーンが蛇足な気もする程に
余韻の長さを味わいたい
いやミスの大傑作であるといえる。