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つる-鶴-のkoyamaxのレビュー・感想・評価

つる-鶴-(1988年製作の映画)
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市川崑と吉永小百合による
「鶴の恩返し」

お話自体は本当に昔話のまんまです笑

罠にかかった鶴を助け、その鶴が人間へと姿を変えて恩を返す話。
他者を思いやる心の尊さを描きつつ、翻ってタブーを侵し、いかに「覗く必然性」を作り出してしまったのか、

そして「それそのもの」をどう描いたのかが見どころ。

助けた人間がじいさんばあさんではなく、
独身男で、話も異種婚姻譚として描かれています。


ある意味わかり切った話ですが、

「絶対に覗いてはいけない」
と言われる、夜な夜な籠る妻の秘密の部屋。

映画セオリーからすれば、

覗けと言われているようなものですね笑

みんな知っている展開。
この超難関ハードル。

現在の「ラストの見せ方」に至るまでに何パターンも想定していたそうですし、実際に撮ったものを何度もリテイクしたそうです。

頭の中で練り続け、何十周巡ってこの「表現」にしたのか。
その境地を導き出した市川崑演出の「結論」に納得できるか否か。
そんなところがスリリングポイントでした笑

個人的には本当の勝負ポイントは、「覗く必然性の方。」だとおもいました。。
市川崑演出は「大胆にやっちまってるところ」もまた特徴だとおもっています笑
そのあたりに寛容さがあれば、一度は本作を覗いてみてもいいかもしれません。
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