このレビューはネタバレを含みます
硫黄島の摺鉢山に星条旗を立てた3人の物語。
旗は二度立てられていたらしい。歴史的瞬間になると予見した上官から旗をよこせ、もう一回立てよと命じられるがままに旗を立てた3人。
悲劇なのは、自分がヒーローと祭り上げられることで戦死した友達へ申し訳なさを感じ、戦後もフラッシュバックに苦しみアル中になり亡くなったアイルヘイズだが、現実の世界ではジョンブラッドリーとレニーキャグノンだったろう。それぞれ2016年と2019年に実際は旗を立ててはおらず、別人が旗を立てていたというのがわかった。彼らは亡くなるまでヒーローとして戦争を語らされたのか、2人はどんな思いで軍の広告塔として、国のヒーローとして生きたのか。自分ではない人生を生きることはどれほど辛かっただろうか。
映画の中ではさらに真実はハーロン、世間に知れた名前はハンク(ともに戦死)という人違いがあってこれもまた両家の親族を苦しませたという。
これだけの人間違いをするなんて、個人の人格は無視され、人の顔や名前や性格や大切な人との思い出は没却され、数字やコマとして都合よく使われていた証拠か。
でも、これだけの人間違いをしてたらさすがに本人も含めて誰か指摘してもいいじゃないの。