この星条旗を掲げる写真にうつる6人は、
アイラ・ヘイズ
ハロルド・シュルツ
マイク・ストランク
レイニー・ギャグノン
フランクリン・スースリー
ハーロン・ブロック
この映画の原作者の父、写真に写っている一人とされ、映画の中心人物であるジョン・ブラッドリー氏(1994年没)は、実はこの写真の中にはいない。
かわりにハロルド・シュルツ氏(1995年没)という、カムアウトしなかった方が、旗揚げの人員の一人だった。
この間違いが2014年に指摘され、2016年に海軍の公式発表により一人が入れ替わった。
最終的に原作者も父が写真の一人でない事を認めた。
シュルツ氏は結局自ら名乗り出なかった。
そしてこれは映画内できちんと描かれているが、アイラ・ヘイズ氏は名乗り出たくなかったが名前を出され怒り、もう一つの間違いを自ら正し(ハンク・ハンセン→)ハーロン・ブロック氏の遺族に真実を伝えた(1946年)。
そして早世した(1955年)。
そのような事実を踏まえて再見すると、気のせいか映画の中では既にわかっていたような空気が漂っているような感じもして、ブラッドリー氏が英雄役を引き受けた、と解釈して観ても映画の趣旨を全く損なわないことに気づく。
また怪我で記憶があいまいだった可能性も考慮すれば様々な推測が成り立つ。
さらにその上で、ブラッドリー氏がこの件についてその後取材に応じず寡黙だったことの真意を、執筆当時の息子さんとは違う視点から推測しても、あの場で戦った者にしかわからない孤独を強く感じ、その点からも映画の趣旨を全く損なわないことに気づく。
あの時あの場所にいた者といなかった者、そこには絶対的な隔たりがあるはず。
命を落としたものこそ英雄だとか、ブラッドリー氏は素晴らしかったとかという戦友の言葉とか、いろんな「言葉」が飛び交う映画だが、
その場にいた者にしかわからない、経験しなければわからない、言葉にできないものがあって、
そういうものを胸に抱えた人は、雄弁に語らない。
饒舌な人は信用できない、言ってることとは真逆の「空っぽ」かもしれないから。
だから、事実と違う点がある、ということを抱え込んでも、知る者の孤独を描いた、と私が感じたこの映画は素晴らしいと思える!
最後、硫黄島のビーチではしゃぐ場面は本当に切ない。。。