だーあま

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセスのだーあまのレビュー・感想・評価

2.3
子供に向けた教訓を散りばめた絵本のような作品だった。この作品は兄と妹の関係が軸になっており、兄であるしんのすけは作中で妹にとって良き兄として振る舞うようになる。話の筋書きとしては道徳的な色味が強くあまり好きではない。
妹のひまわり一人に世界の存亡が懸かっており、宇宙人によってその世界の王女として君臨することになるひまわり。そんなひまわりを野原家の面々は取り戻そうとするという話。野原家としてはひまわりが偉い存在になりすぎて、面会時間が数年に一回しか会えなくなることが不満だった模様。それだったら、面会時間を増やしてもらえるように交渉する方がよくないですか?わざわざ宇宙人たちからひまわりを取り戻すという方向へ向かうのがよく分からない。ひまわり一人に世界の存亡というあまりにも大きすぎるものが乗っかかっているため、ひまわり奪還を目指す野原家の動機が拮抗できていない。これは過去作品である『ケツだけ爆弾』にも同様のことが言える。
宇宙人は野原家の目の前に立ちふさがり、ひまわり奪還を阻止するが宇宙人は根っからの悪人ではないため対立構図が弱い。それはいいとして、奪還を目論む野原家とそれを阻止しようとする宇宙人の対立を通してしんのすけはその都度良い兄になるための試練に立ち向かうことになる。こういった話展開の構造がどうにも私には子供向けの教訓的な絵本のように感じてしまってつまらないなあと感じた。
あと、宇宙人の中で一番偉いボス格の男がしんのすけを大声で激詰めするあまりしんのすけが泣いたシーンはあまりにも従来の世界観から逸脱しているため引いてしまった。小学校低学年のこどもを必要以上に正論でせめ立てる教師みたいで胸が痛んだ。
クレヨンしんちゃんというフォーマットでわざわざでやる必要性に疑問符が残る作品。