のりまき

死ぬまでにしたい10のことののりまきのレビュー・感想・評価

死ぬまでにしたい10のこと(2003年製作の映画)
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6歳と4歳の娘がいる24歳の母親が妊娠と思って訪れた病院で余命3ヶ月を宣告される。目を見て告知できない医者にタバコの代わりにジンジャーキャンディーをもらい、深夜のカフェでリストを作る。
娘たちに毎日愛していると言う。娘たちの母親を探す。18歳までのメッセージカードを作る。夫以外と寝てみる。男を夢中にさせる。父親に会う。思ったことを口にする。髪と爪を変える。他愛のないものから、ひどく困難なものまで。
バランスがすごくいい。娘や、プール掃除人の夫や、不仲な母、獄中の父のことばかり彼女か思っていたらあまりに悲惨だ。17でニルヴァーナのコンサートで出会った男とできちゃった婚をして、母の家の裏庭のトレーラーハウスに住んでるにしちゃ彼女は良き母、良き妻、良き娘すぎる。その上美人とくら。
しかし、その彼女がカフェで彼女を見初め、コインランドリーで一晩中寝顔を見ていた男には非情と言えるくらいエゴイスティックに振る舞う。彼女は秘密を保持することによって優位に立ち続ける。他の者には与え続ける彼女が恋人には1片も与えない。「私なしの私の人生」とても美しい世界。彼女が作った世界。
キャラクターがとてもいい。アラスカにいた事のあるリーは恋人に家具を持ち逃げされてがらんとした部屋で暮らしている。看護師のアンは研修で結合双生児が死ぬまでの30時間抱き続けた経験から子供は持たないと決めている。父親は「愛しているが、お前たちの望むようには愛せない」と言う。
ただのお涙頂戴ではなく、ただの恋愛ものでない、そのバランスが見事である。
自分は何をするのか考えさせられる作品。
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