このレビューはネタバレを含みます
生きている時にやりたいことと、
死ぬことが決まってからやりたいことは全くの別物、だった。
邦題は邦題でわかりやすいけど、原題は「My life without me」。
最後のシーンの所でタイトルを知ったんだけど切なさがまたグッと増した。
切ない。
主人公は若くして初めての彼との間に子供を授かり、10代のうちに二人の女の子の母に。
父親が刑務所に入っていたり、母の間にも確執があったり複雑な家庭環境もあった上に、予期せぬ授かりものもあったものだから人生設計も夢もへったくれもあったもんじゃない。
彼女の人生はとにかく目の前のことでいっぱいいっぱい。
旦那は嫁ラブ、子ラブだけど嘘のつけない良い人で失業中の半プータローみたいな旦那。
(やっとプール作りの仕事ゲット!祝)
主人公が深夜の清掃業で一家のトレーラー暮らしを支える大黒柱。(まだ23〜24)
そんな彼女にある日癌が。
余命宣告を受け、"死ぬまでにやりたい10のこと"を書き出す。
色々あるけど大きく分けるとまずはネイルをやってみたいとかちょこっとしたもの(それでも普段の生活全力お母さんな主人公からしたらまずやらない行為)。
"プチ贅沢"。
二つ目は旦那以外と恋に落ちる、
みたいな"生きてたらちょっとやれないこと。だけど願望のあること"。
そして最後の三つ目は"清算"。
前二つは割と当人に依拠するものだけど、三つ目は人間かコミュニティで生きてることを強く感じさせる。
生きてる限り誰かと繋がってる。
繋がってる人達は大小あれど、その人が死んだらきっと傷を負う。
それを和らげたいとか、残る人たちの幸せを切に願って"清算"の準備をする彼女が、
痛ましい。
そして同時に美しい。
清算に一生懸命になれるってのは良いコミュニケーションを取ってきた証拠でしかないと思うから。
死ぬまでのリミット、それもリアルなリミットをもらわないと永遠にやらないことって誰でも絶対あるし、清算しなきゃいけない関係性もたぶん、ある。
(プチ贅沢は一番簡単だからぜひ日常に取り入れよう笑)
何より死ほどの共通項はないからきっと色んなものを感じて、考えると思う。
レビューごときではちょっと伝えられないから是非見てみて欲しい。
切ないです。
…日常の中に未来の話はつきもの(来月何しようとか、いつかの話とか)だけど、それは未来のない人にとっては呪いでしかなくて、辛かった。切ないですほんとに。