三隅炎雄

日本仁侠伝 花の渡世人の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

日本仁侠伝 花の渡世人(1966年製作の映画)
3.8
高橋英樹の『日本任侠伝』2作目。舛田利雄の1作目は無国籍アクションを着流し姿で演じるパロディ仕様だったが、野口晴康(博志)のこちらは、東映でマキノ雅弘や山下耕作が撮るような典型的な任侠映画の台本を、心理や情緒の内側に入らず、外から眺めるように距離を置いたまま描ききって、これまた奇妙な後味を残す。話はありきたりだが、独特の語りでじゅうぶん魅せる。河原での出入りアクションも凝ったものだ。

マキノの対極にあるようなニコリともしないその硬質な文体の極点が纏を振る高橋英樹のラストで、乾ききったこの演出感覚にはちょっと驚いた。愛嬌あるにぎやかし的人物が脇に一切も出てこないのも重苦しく、この手の映画では異様な作りだ。
三隅炎雄

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