エイプリル

アンブレイカブルのエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

アンブレイカブル(2000年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

かなり静かというか、意識の高いヒーロー映画という感じでした。
全然怪我しない男に対して骨形成不全の男を対比として置くのはめちゃくちゃ鮮やかな人物配置だし、それがラストの「友人」→「ヒーローVS.ヴィラン」に繋がっていくのは美しかったです。
で、この映画は確かによくヒーローものでありがちなヒーローの葛藤とヴィランの誕生について描写されているんですが、とにかく地味です。ヒーローものなのは構造的に間違いないんですが、ド派手なアクションがあるわけではなく、デイヴィッドの葛藤は非常に日常的です。彼はヒーロー行為に正義感とか達成感を感じることもなく「悪い夢」と評するくらい普通の男性です。そもそも戦う理由は義憤に駆られて、というよりも家族の誇りや思いを守りたいということなんですよね。
なので、映画全体として見た時には間違いなくクオリティが高く筋の通ったヒーローものであることなのは間違いないし、ヒーローVS.ヴィランを穿った形で描いた発明とも言えるんですが、まあエンタメ性が薄いので面白かったかと言われると、まあ…という感じでした。
なんというか、イライジャの思いはよくわかるんですけど、ちょっとデイヴィッドには感情移入しにくかったです。
監督の名前とか全然調べずに見たのでエンドロールで「ナイト・シャマラン」ってドン!って出た時、「シャマランか〜〜〜」みたいな感情になったんですが、これ分かりますか?シャマランか〜〜〜という感じです。
あとこれ続きあるんですね。

ラストのデイヴィッドの表情がとにかく良くて、彼の心に生まれたイライジャの狂気と彼との別離、いろんなものがないまぜになった感情をめちゃくちゃ非言語的に表現されてるのすごいな…と思いました。最高の後味です。

おすすめしにくい作品ではあるんですが、でもなかなか他の映画では味わえない感覚を楽しめるレアな映画でした。
エイプリル

エイプリル