ぶみ

アンブレイカブルのぶみのレビュー・感想・評価

アンブレイカブル(2000年製作の映画)
3.5
真実を知る覚悟はあるか。

M・ナイト・シャマラン監督、ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン等の共演によるスリラー。
乗客・乗員131人が死亡するという列車事故で、唯一無傷で生き残った主人公のその後を描く。
公開当時、劇場鑑賞した作品であり、先日同監督の『サイン』を観て、監督の他作品を観たいと思ったことからチョイス。
主人公となるアメフト会場の警備員デヴィッド・ダンをウィリス、ダンに手紙を送る骨形成不全症の男イライジャ・プライスをジャクソン、ダンの妻オードリーをロビン・ライト、息子ジョセフをスペンサー・トリート・クラークが演じているほか、イライジャの母としてシャーレイン・ウッダードが登場。
物語は、冒頭直接的なシーンはないものの、ダンが乗る列車の凄惨な事故が発生、無傷で生き残ったダンにプライスから手紙が送られてきたことをきっかけに、ダンが自身の特殊能力に気づく展開となるのだが、全体的なトーンが常に重苦しい中、何気にある長回しや、固定視点から動き出す独特なカメラワーク、はたまた伏線が込められた色遣いと、其処彼処にシャマラン節が健在。
そして、監督の他作品の例に漏れず、本作品でも監督自身が出演しており、先日観た『サイン』ほどでないものの、そこそこ長い時間登場していたのは見逃せないポイント。
これまた監督の他作品同様、本作品の核となる部分についてはネタバレになるため、あまり書くことができないのだが、スリラー風味で味付けされたダンの、そしてプライスの家族の物語といった様相が強く、これもまた監督の得意とするところ。
監督の前作となる『シックス・センス』が、静かな作風ながら度肝を抜くような内容であったため、比較してしまうと、どうしてもインパクトは弱いものの、コテコテのアメコミヒーロー作品がコスプレものに見えてしまい、全く受け付けない私としては、現実をベースとして家族の物語を絡めた本作品の作風は嫌いではなく、その結末のキレ味の鋭さは十分面白いものとなっているとともに、ようやく『ミスター・ガラス』を観る準備が整うこととなった一作。

私を「ミスター・ガラス」と。
ぶみ

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