ひろ

Ray/レイのひろのレビュー・感想・評価

Ray/レイ(2004年製作の映画)
3.8
“ソウルの神様”と呼ばれたR&B歌手でピアニストのレイ・チャールズの人生を描いた2004年製作のアメリカ映画

第77回アカデミー賞主演男優賞(ジェイミー・フォックス)と録音賞を受賞した

これはすごい伝記映画だ。別格と言ってもいい。誰もが名前ぐらいは知っている史上最も偉大なシンガーと言われるレイ・チャールズの人生。

伝記映画って話を美化する傾向があるけど、この映画のレイ・チャールズはドン底から成功したスターであり、女やドラッグに逃げる弱い男でもある。偉大なるスターの表と裏をここまで赤裸々に描いているのは素晴らしい。

黒人が差別されている時代であり、盲目の人間にも優しくない時代。そんな時代背景も美化されていないから、より真実味が増してくる。この時代に黒人で盲目の彼が成功したのは、本当に偉業だったと思う。

この映画の製作には、レイ・チャールズ本人も立ち会っていたが、2004年6月10日に公開を待たずに亡くなってしまった。その直後に公開されたことで、この伝記映画の重みが増したのは間違いない。

そんなレイ・チャールズ本人が自分の後継者とまで言って、レイ・チャールズ役を任されたのがジェイミー・フォックスだ。関係者をして、本物そっくりと言わしめた演技。顔はもちろん、仕草や話し方、そしてピアノ演奏や歌まで吹き替えなしでやっているのは神業。そりゃオスカー受賞しますよ。

なんせ、3歳からピアノやってて、高校ではアメフトのクォーターバック、ジュリアード音楽院でピアノに磨きをかけ、卒業後はコメディアンになったという多才ぶり。何をやらせても一流の彼だけに、演技の幅の広さは頷ける。オスカー受賞後にそんなに作品に恵まれてない気がするけど、もっと評価されるべき俳優。ちなみにミュージシャンとしてもアルバム出してます。

偉大なるレイ・チャールズの人間性を深く追求した伝記映画であり、ジェイミー・フォックスの物真似ではない、レイ・チャールズそのものになりきった至高の演技を観れる映画なんで、これは観とくべき作品じゃないかな。
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