このレビューはネタバレを含みます
「ドン・ジョヴァンニ」初鑑賞記念、感動したのでモーツァルトリスペクトで借りてきました。
冒頭からドン・ジョヴァンニの序曲、というか騎士団長のメロディ。結局、喧嘩別れしたまま死に目にも会えなかった父に、自分は罰されるべきだったという、モーツァルトの後悔がこの曲を通して表現されている映画だったと思います。
ただ史実を見ると、父の死より以前にドン・ジョヴァンニは初演されていたようです。ですからその辺りは脚色かも知れませんが、非常にドラマチックでした。
私としては台本作家のダポンテさんが気になっていて、どんな人なのか登場を楽しみに待っていたのですが、出てこなかったので、その点がちょっぴり残念でしたね。
衣装といい劇中オペラ場面といい、やはり貴族社会の豪華絢爛な感じがすごかったですね。ロケ地のチェコの劇場は期しくもドン・ジョヴァンニの初演が上演された場所でもあるそうです。
虚々実々入り混じるところではあるのでしょうが、義母の金切り声から夜の女王のインスピレーションを受けた場面は笑ってしまいました。
レクイエムの口述筆記の場面を観ていると、サリエリの祈りはある意味届いたのではないかと思いました。モーツァルトという音楽の神から、霊感をまさに授かっているようでしたから。
それと細かいことにはなりますが、ヨーゼフ2世は本当に平土間で観劇なさってたんですかね?ボックス席だとばかり思ってましたが…などという疑問も持ちつつ、いろいろ調べながらまた2度目3度目と再見したい濃密な圧倒的な映画体験でした。素晴らしかったです。
追記2023.7.6
作品中のサリエリは、確かにモーツァルトな対してはだいぶひどい嫌な男ですが、あの状況で据え膳喰わずに突っ返すとは感動しました。あんな完璧な人間は現実に存在しないでしょうね。