ルッコラ

アマデウス ディレクターズ・カットのルッコラのレビュー・感想・評価

5.0

あまりにも傑作。

一分のスキもない。


自分自身それなりにクラシックも好きなので史実じゃないなと思う部分も多かったけど、そんなことは関係なく傑作。
そんな重箱の隅は本質とかけ離れている。ただこの画面と物語に酔うべき。


様々な切り口から見られる作品でありながら、どこで切っても極上であるという稀有な作品。


3時間超えという長尺でありながら、飽きないテンポのよさ。
どこで止めても絢爛な画面。
輝かしい衣装の数々。

物語の結末や中盤以降の展開を考えると暗く重い話のはずだけど、全体に通底する軽薄で歪でキャンプな美しさがある。
素晴らしい。



なによりモーツァルトとサリエリの関係性の複雑さがこの作品を傑作に押し上げている。
最後のふたりで譜面を書き写すシーンの壮絶さたるや。
才能に振り回され堕ちていくロックスターモーツァルト。
その才能を誰より愛し誰より理解したサリエリ。
このふたりが譜面を通して交わる。
サリエリにとって1番幸福な瞬間だったのでは?
ルッコラ

ルッコラ