Supernova

アマデウス ディレクターズ・カットのSupernovaのレビュー・感想・評価

4.2
教養が才能を生むならこの世に才能は存在しない。

書こうと思ってたことが全て飛んだ。すごかった。

あくまでもサリエリ視点で描かれるモーツァルトであり、極めて客観的。元よりはるか昔に亡くなった超常を極める天才の思考など想像することすら容易ではないので、むしろこの描き方が正しかったように思う。
ただ、どこか物足りなさを感じた。
当然サリエリ視点の話だから仕方ないとは言え、孤高の天才故の孤独とかそういった側面へフォーカスした描写がもっと欲しかった。

モーツァルトがいかに凄いか、そしていかに彼の才能を尊敬し、嫉妬し、それに生涯呪われ続けたか。サリエリの苦悩もまた見事に描かれていた。
凡庸でありながら、唯一与えられたのは類い稀なる才能を誰よりも理解できてしまうという非情で残酷な才能。自身の凡庸さを叩きつけられる。それがいかに音楽家として悔しいことかがよく分かった。

権力者の鶴の一声で全てが決まってしまうこんな世界でなければまた事情も違ったであろうに。凡庸な人間にはその才能を潰すことしかできないのが不甲斐ない。

コンスタンツェの女優可愛すぎた。あのシーンは自分まで辱められた気分になった。全く嫌な世界だ。

素晴らしかった。どこまでが史実通りなのかは分からないけど、この映画一本でモーツァルトとサリエリの複雑な関係性が理解できるので音楽史に興味ある人は必見。
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